セント．アイヴス

　岬の町へ
プリマスからペンザンス行きの列車に乗り、セント・エルスという小さな駅で二両連結のローカル線に乗り換える。単線の鉄路は山の中腹を走り、右手には海、左手はコテージ風の建物を眺めながら３０分ほどで終着のセント・アイヴスに到着する。風光明媚なこの街は、多くの画家や陶芸家に愛されて、ギャラリーやスタジオが多くあるという。駅は高台にあって湾曲した入り江とミニチュアのような家々を見下ろすことが出来る。
海は干満が激しく、数時間もすると遠浅の干潟になる

　海辺の墓地

街は海に突き出た岬の上にあり、入り組んだ坂道を登るとすぐ下りになって、また海が開ける。イギリスでは宿泊出来ないなどということはめったにないが、よほど間が悪かったのか５．６軒続けて満室だと断られた。
一天にわかにかき曇り、激しいにわか雨が降ってきたり弱り目にたたり目である。
別の街にでも行こうかとあきらめ掛けたが、墓地を目の前にしたＢ＆Ｂでようやくチェックインできた。階下がパブになっていてビリヤードの台があり、地元の老人が球を突いている。写真を写させて、と頼むと顔を赤らめながら真剣にキューをかまえてくれた。
まわりからヤジを飛ばされてますます顔が赤くなった。

荷物を部屋に置いて気の向くままに海辺や坂道をほっつき歩いた。
上の写真にも写っているが岬のはずれに小高い丘があり、そこから眺めると遠くに墓地が見える。
多分あのあたりがチェックインした我がＢ＆Ｂだろう。
この街を一度も出ることなく、海辺の墓地に眠っている住人もいるのではないだろうか。
街の中でビールを飲んだので尿意を催してきたがトイレが見あたらない。
仕方がないからひと気のない岩かげに入ったが黄色い花がいっぱい咲いている。酸性雨を掛けてはまずいのでそこを避けて放水したが年々飛距離が落ちてくるようだ。皮肉なもので丘を降りたらトイレにぶつかった。
午後９時を過ぎてからようやく街の灯がともる。そして更に夜更かしが続く
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